技術・工法 |
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セントル脱型直後の覆工コンクリートに、【図-1アルミ蒸着気泡シートの構成】に示した3層のポリエチレンシートで構成された気泡シートにアルミを蒸着した厚さ4.2mmの蒸着気泡シートを、【図-2 覆工コンクリート養生状況】に示すようにバルーンを膨らませることによって覆工コンクリート表面に密着させ、コンクリート表面からの水分蒸発およびコンクリート表面温度の急激な低下を防ぐものです。
【図-1アルミ蒸着気泡シートの構成】
【図-2 覆工コンクリート養生状況】
養生期間中、坑内の温度や湿度の変化、掘削中の換気や貫通後の通風などによる影響から覆工コンクリートを保護することで、構造物としての高い品質と耐久性の向上が期待できます。
下記のような特徴があります。
1.セントル(移動式型枠)をセットし、覆工コンクリートを1スパン打設します。
2.セントル脱型後、セントルを次打設スパンに移動・セットします。
3. 養生台車を養生対象スパンまで移動します。
4.バルーンを膨らませてアルミ蒸着気泡シートを覆工コンクリート表面に密着させます。
5.養生台車数に合わせて上記3.~4.を繰り返します。養生台車の数を3連とすることで、連続7日間の養生が可能となります。
※バルーン空気圧の自動管理装置を定期点検して稼働状況を確認し、コンクリートへの気泡シートの密着性の確保に留意する必要があります。
セントル脱型から6日間の養生を行ったスパンと養生を行わなかったスパンにおいて、覆工コンクリートの厚さ方向(表面部、中央部、背面部)に熱電対を3個と鏡面に湿度計を設置し、コンクリート表面の温度、湿度および内部温度の連続計測を行った結果を示します。
トンネル肩部において、養生期間中の表面部と中央部の温度は概ね等しくなりました。また、表面部の温度は坑内の温度変化に影響されることなく、緩やかに坑内温度に近付いています。これは、アルミ蒸着気泡シートの高い断熱性能と保温性能を示しています。
養生を行ったスパンの相対湿度は、100パーセントを示しています。本養生方法は、坑口付近の厳しい施工環境であっても相対湿度100パーセントを確保できるため、水和反応の促進を図るための湿潤状態を確保できます。
材齢28日でのテストハンマーによる強度試験の結果、養生を行ったスパンは、無養生に比べて1.2倍程度強度が高くなりました。これは、保温・湿潤効果により、初期材齢時の強度発現が健全に行われ、緻密性の向上が図れたことを示しています。
中性化促進試験結果より、実トンネルと同一条件で養生を行った供試体は、無養生の供試体に比べて中性化深さを低減できることが明らかとなりました。これは、表層部の緻密化により、長期耐久性の向上が図れることを示しています。
※シュミットハンマーによる表面強度測定および中性化促進試験の結果